2025年10月11日(土)『Mary said what she said』を観劇

東京芸術劇場でフランスの名女優イザベル・ユペール
10月11日、東京芸術劇場でフランスの名女優イザベル・ユペールによる一人芝居
『Mary said what she said』を観劇。
16世紀スコットランド女王メアリー・スチュアートが、エリザベス一世との権力闘争に敗れ、処刑前夜にその波乱の生涯を回想する物語。
陰謀と策略に翻弄されながらも、カトリックの信仰のために死を受け入れる誇り、そして運命に抗いながらも気高く生きた姿を、ユペールが圧倒的な個性で体現していた。
セリフは全編フランス語。1時間半、息をもつかせぬほどの早口で語られる言葉は、もはや音楽そのもののようで、聴覚的な詩に包まれているような感覚だった。
音楽はバロックを現代的に再構築したようなドラマティックな響き。
白一面の背景に浮かぶ黒い影絵のようなシルエットの動きが詩的で、孤高のメアリーの内面を鮮やかに映し出していた。
誇り高き女王の孤独な最期を描き出すユペールの演技は、圧巻というほかなかった。
その存在感と表現力に息を呑み、ロバート・ウィルソン演出の演劇美学の極致を目の当たりにした。
この作品には日本語訳がないため、原書を取り寄せ、英国人の英語教師に解説を受けながら予習。
イギリスとスコットランドの歴史や、カトリックとプロテスタントの宗教的対立を理解しておかねば、作品の本質に触れるのは難しい。
それでも下調べのおかげで、物語の流れに深く入り込むことができた。
冒頭からの猛烈な語りに「最後まで持つだろうか」と一瞬不安を覚えたが、
言葉と音楽が渦を巻くように絡み合い、次第にその世界へと引きずり込まれていった。
気づけばメアリーの心と一体になっていた自分がいた。
東京芸術劇場でフランスの名女優イザベル・ユペール

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